吉祥寺という街、映画の始まり
吉祥寺駅の南口を出ると、サンロード商店街のアーケードが目に入ります。この街は映画の街として知られ、昔は小さな映画館が何軒も並んでいました。いまも名画座の灯りが残り、路地には映画のポスターが貼られています。映画の待ち時間に本屋へ入る。吉祥寺には、そんな街の記憶が残っています。
古書店「百年」、階段の上の棚
古書店「百年」は、井の頭通りから少し入ったビルの二階にあります。階段を上がると、天井まで届く本棚が出迎えます。ここは新刊と古書が同じ棚に並ぶ変わった店で、小説、文庫、海外文学が背表紙を揃えています。棚の間に椅子が置かれ、立ち読みというより、座って読む時間が流れています。私は文庫の棚で、映画化された小説を700円で買いました。
サンロードと、駅前の新刊書店
サンロードに戻ると、駅前の新刊書店があります。ここは雑誌と新書の品揃えが豊富で、通勤帰りの人が立ち寄ります。平台には、今週公開された映画の原作が平置きされ、隣には映画パンフレットが並んでいました。映画と本が、同じ平台で出会う。吉祥寺らしい光景だと思います。
井の頭公園で開く一冊
買った本を手に、井の頭公園まで歩きます。池の周りのベンチで開く一冊は、街の音が遠くなって、とても読みやすい。演劇の稽古をする声、ボートの水音、子どもの遊ぶ声。それらを背景に、ページが進みます。公園の読書は、本の内容までやわらかくしてくれます。
ベンチに座っていると、読みかけの本を持つ人と何度もすれ違います。吉祥寺では、本を片手に歩くことが自然な風景です。
名画座のあった街、本の時間
帰り道、シネマ通りを抜けると、古い映画館のあとがカフェや古書店になっていました。かつて映画の列ができた場所に、今は本棚が並んでいます。映画館が閉じても、物語を届ける場所は消えません。吉祥寺の本屋は、映画の灯りのあとを引き継ぐように、街に残っています。
帰り道に買う一冊
最後に、駅前の書店で週末に読む一冊を選びました。映画を観るように、本を開く。吉祥寺の本屋は、そんな時間の入り口です。次に吉祥寺へ来るときは、もう少し歩いて、西荻窪の古本屋まで足を伸ばしてみようと思います。