減り続ける本屋の数字
全国の書店の数は、かつて2万店近くありました。いまは1万店を切る水準まで減り、東京でも閉店のニュースが絶えません。本がネットで買える時代に、本屋は何を提供できるのか。その問いは、もう新しいものではありません。それでも、答えはまだ出ていません。数字が減ることと、街から本屋の記憶が消えることは、同じではありません。
それでも、本屋は生まれている
一方で、新しい本屋も確実に生まれています。下北沢の本屋B&Bのような「本とお酒」の店、高円寺のコクティル書房のような「本とごはん」の店。どちらも、ただ本を売るのではなく、本を読む時間ごと売っています。本屋は「場所」になろうとしているのです。本を買うだけならネットで十分。だからこそ、立ち止まりたくなる場所としての本屋が増えています。
街に本屋があることの意味
街に本屋があることの意味は、案外、買い物以外のところにあります。雨の日に飛び込んで、予期せぬ一冊に出会う。書店員さんに「最近どうですか」と聞かれて、雑談が始まる。そういう「偶然の装置」として、本屋は街に必要です。何かを探しに来たわけではない人が、本屋の前で足を止める。その数秒が、街の文化を作っています。
本屋と図書館と学校
図書館は無料で本を借りられる場所として、本屋とは違う役割を持っています。学校と組み合わせて、子どもたちが本に触れる機会を増やす動きも各地にあります。本屋が減っても、読む場所がなくなるわけではない。けれど、本を「選ぶ」体験は、本屋にしかできません。棚の前で迷う時間、表紙を手に取る感触。それらは図書館にもネットにもない、本屋だけの財産です。
私たちにできること
私たちにできることは、案外シンプルです。気になる本を本屋で買う。読み終えたら誰かに渡す。古本市に行って、古本の匂いを楽しむ。一冊ずつ、歩くようにして本を選ぶこと。それが、このサイトの名前の由来です。本屋と街のこれからは、大きな政策や流行ではなく、そうした小さな習慣の積み重ねで作られていきます。今日もどこかの街で、本屋の灯りがついています。小さな一冊の積み重ねが、いつかきっと街の風景を変えていきます。