駅前という、本屋の場所

帰り道に本屋がある。それだけで、一日の終わりが少し豊かになります。東京の駅前には、改札を出て三分の場所に本屋がある街がたくさんあります。大きな駅の書店も、小さな駅の個人店も。駅前の本屋の時間を歩きました。

駅前の本屋は、目的の本を探す場所というより、帰り道の習慣のような場所です。気がつくと、本を手に家に帰っています。

新宿南口、紀伊國屋書店

新宿駅の南口を出ると、紀伊國屋書店があります。ここは新宿のランドマークのひとつで、地下から上の階まで、幅広い棚が続きます。閉店間際の新宿で、仕事帰りの人が文庫を買う姿をよく見かけます。都会の大きな駅には、大きな本屋が似合います。

新宿の書店は、仕事帰りの人が多く、閉店間際でも人が途切れません。「明日までに読みたい」と急いで買う人もいます。大きな駅の本屋は、都会の時間に合わせて動いています。

池袋、ジュンク堂の灯り

池袋駅の西口方面には、ジュンク堂書店があります。本を探しに来る人のための店で、夜遅くまで開いています。終電の前の時間帯でも、棚の前には人がいます。駅前の本屋は、帰宅の時間に合わせて開いているのが役目です。

ジュンク堂の夜は、静かです。大きな店ですが、時間が遅くなるほど、棚と向き合う人の距離が近くなります。私は終電の前に、新書を一冊買いました。

中央線の駅前、小さな書店

中央線の駅前には、個人の小さな書店が残っています。荻窪や三鷹の駅前の店は、通勤の人が朝刊を買い、帰りに雑誌を買う、生活の一部です。大型店のない街でも、駅前には本屋がある。それが東京の町の形です。

中央線の駅前書店は、通勤の人の朝と夕方で表情が変わります。朝は新聞と雑誌、夕方は文庫と新書。店の人は、常連客の顔を覚えています。

帰り道に買う一冊

帰り道に買う一冊は、重くない一冊がいい。文庫、新書、雑誌。私は三鷹の駅前の書店で、通勤中に読む文庫を買いました。店員さんが「読みやすいですよ」と声をかけてくれました。

帰り道に買う本は、家で開く約束をして買う本です。夕飯のあと、風呂のあと。その日の終わりに読む時間を想像しながら、一冊を選びます。

駅前の本屋がくれるもの

駅前の本屋は、一日の区切りをつくる場所です。仕事から家へ、その間に本を一冊挟む。駅前の本屋が減っていく話はよく聞きますが、帰り道に本屋がある街は、どこか落ち着きます。